著者 霧江サネヒサ
  • なし
# 5

インタビュー・ウィズ・キラー

 協会からの依頼で、愛坂狂次は、インタビューに答えることになった。
——愛坂さんは、ベテランの殺し屋ですよね。殺し屋になって何年ですか?

「14年になります」

——ということは、13歳からですね。殺し屋を志した理由は?

「人を殺すのが得意だからです」

——なるほど。どんなところで人殺しを得意だと思いますか?

「そうですね。いつも冷静でいられますし、殺すことに躊躇もなく、罪悪感を抱くこともないところでしょうか」

——素晴らしい適性ですね。やっぱり、努力されましたか?

「努力というより、天賦の才です。努力するとしたら、殺しの技術の方ですね」

——そうでしたか。確か、愛坂さんは、射撃・近接戦ともに得意だとか。それは、努力で?

「はい。まず、ナイフで人を仕止める術を学びました。人体の急所を頭に叩き込むのです。それから、素手での格闘。次に、拳銃・狙撃銃での射撃訓練。あとは、閃光弾や毒ガスなどの取り扱いを教わりました」

——どれも成績優秀だったと伺ってます。初めての人殺しは、どのようなものでしたか?

「初めて殺したのは、実の父です。典型的な虐待親だったので、寝ている時に包丁で喉を刺しました」

——自衛のために殺したんですね。その後、協会にスカウトされたんですよね?

「はい。私には弟がいますから、ふたりで生きていくためには、金が必要でした。だから、渡りに船でしたね」

——弟さんは、愛坂さんの仕事について何か言ってますか?

「私に向いた素晴らしい仕事だと言っています」

——理解のある弟さんですね。兄弟仲はいいんですか?

「ええ。双子だからですかね。お互いを特別だと思っています」

——いい話です。愛坂さんは、協会でも上位の殺し屋ですが、給料はどのくらいですか?

「あまり金に執着しないので、覚えていないのですが、貯金は何千万かあります。一度の殺しで、百万から五百万円はいただいています」

——流石、トップクラスの殺し屋ですね。見たところ、愛坂さんは、イギリスの高級ブランドを好んでいるようですが、何か理由はありますか?

「世界史を学べば分かることですが、イギリスは悪いことばかりしているのが目立つ国です。私のような職業の者にはぴったりだと思いました」

——面白い考えですね。では、最後に養成所の生徒にコメントをください。

「殺し屋は、ハイリスク・ハイリターンな仕事です。命懸けで、命を奪う仕事です。皆さんも、しっかり適性を身に付けてください。以上です」

——ありがとうございます。協会で活躍している現役の殺し屋の愛坂狂次さんでした。
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